Track by大石晴子
朝の花瓶の水位を見初めてから 冷えていた花を撫でて いくつか摘む 一帯にかかるさびしさは 外が雨じゃないから 突き止めきれない ガラス越しに蝶がはたはた飛ぶ 羽任せに ただ好きというだけで二人はまた 微笑んだりする 思い出さない過去や 繰り返しては 徐々に身体に馴染んだ 所作は消えないので 息をするスピードを たまに速めながら 季節を渡れ ガラス越しに蝶がはたはた飛ぶ 羽任せに 目当てなどもないまま二人はまた 音を選んだり 並べ直したりする ただ好きというだけで二人は