鬼の哭く音が 繚乱と舞い 煌めく刹那 鳳凰(とり)が羽搏く 夢幻の裡(うち)に 點睛(てんせい)を遂げ 魔天の主が 物の怪と成る 流例(るれい)の廉(かど)は不退 無点の春は操 溟海(めいかい)の果て 遥 跡絶(とだ)える由(よし)無く 歩ぶ 軈(やが)て 其処に生いたつ 刻(とき)の愛(かな)しさに 此の眥(まなさき)開いて往く丈 岨(そわ)の花笑みに 此の羅袖(らしゅう)が 染まりて咲く哉 底滓(そこり)は 目ら向けず除き 祝詞(のりと)は苦し甘露に似て 凶夢(まがゆめ) 斑(むら)し獏が餌ばみ 幻 瞬く刹那に 鏘鏘(そうそう)鳳凰は飛び立つ 刻の愛しさに 此の眥 開いて往く丈 岨の花笑みに 此の和酬で応え続けよう 疾(と)く 醒めて見上げれば 抉(くじ)られたる 天(そら) 賓(まれうど)土産も解かざる儘で 満開の葉花が絶海を照らすとき 光が溢れる 刻の愛しさに 此の眥 開いて往く丈 岨の花笑みに 此の羅袖が染まりて咲く哉 鳳凰よ 青竜よ 其の翼は 辞(いな)びて歩もう 路のあらましを 此の声で歌い伝えよう