ねえ春は好き? 窓辺は凍りつく。 真冬の病室は、捲る雲の上 僕は嫌いだ。 まっさらな僕らを思い出すから。 透いた湖 雀の啄む逆さ富士 微睡むリヴァーブ 夢の中で聴いた音が、 聴こえる気がして 窓を開けた。 風に咲く花を摑んだ。 僕らはそう答えを急いだ。 ただ深く眠る君の半径3メーター だけに咲いた花々 あけぼの咲う君の 振り向き様 開いた傘の背が、 出し月に見紛う程かがやいて やうゞ、春さけ見れば 焦げた匂い 光を合成する君の背中で、 翼は燃えてた。 萌ゆる草原で、 一人咲いてただけなのに。 硬いアスファルトに、 散らばる君の髪飾り 空は一点の曇りもなく青々と開けて 割れた硝子の雪景色 陽に翳す 水晶みたいだ。 才能さえ君を蝕んだ。 焼ける喉、失う手足 それでも鳴り響いた 大地と一体のバランス 舌先痺れる。 咄嗟に吐き出した 灰皿掬って、最後の口付け ゆるりと転がす、 舌の上の飴のように溶けて、 3月は、夢攫い消える。 風になる 君を見ている。 僕らはもう答えを摑んだ。 子供時代、もう一度会おう! 別の名前になっても、 たましいの色でわかる。 花咲いて雲は海原 この世はバランスだ。 乖離は統合し、 閉じた瞼裏側に、 三百六十度、 僕らを歓迎する花々
