むかしは一日中 雲をながめていました 心は一人で 遠い国へいつまでも うっとりと旅していました むかしは一日中 風の行方を 追いかけました 見知らぬ季節の 見知らぬ街で あてなく迷子になっていました むかしは一日中 花のかおりを かいでいました ねたみといたわりの 混じった気持ちで 美しい花びら摘んでいました むかしは一日中 全てのものに うっとりしてました 雨上がりのにおいや 夕焼けの色に 今は暗い世界にいるのです むかしは少年みたいに 小舟のように 夢はゆれてました だけど今 心の鏡には 何も 何も 映らないのです