過ぎ去り行く 風の 声を 留(とど)め置くは 誰の 為か 其の 憂いは 要らぬもの 畏(おそ)れる 迹(あと)は 歩まねば 刻まぬ おまえの歌は 何処(どこ)にも行けぬ 只 果て逝(ゆ)く 此の手に伝う 心の 声も 振り返る 前に 砂になる 愚かに過(す)ぐ 己(おの)が 声を 求めるのは 己(おのれ)のみと 縦(よ)し 気付けど 時間(とき) 遅く せめても 願う 風に 紛れて 消え去れ おまえの歌は 何処(どこ)にも行けぬ 只 果て逝(ゆ)く 此の手に伝う 心の 声も 振り返る 前に 砂になる 其れでも 歌う 声は 止まぬ 生命(いのち)の 在(あ)るを 確(たし)かむ様(よう)に ぼくらの歌は 役にも立たぬ 只の 戯句(ざれく) 溢れる程の 無闇な 愛も いま 風に溶けて 土に還る おまえの歌は 誰にも遣(や)らぬ 歌って逝(ゆ)く 忘れたくない 無双の 声も 嗄(か)れ果てる 前に 音(おと)を消す