繋ぎ止めた 魂(こころ)に 絡みついた 棘 深く 燻(ふす)べるは 怨念の 遣(や)る瀬無い 犇(ひしめき) もう 忘れて 平らに 只 暮れ泥(なず)む 届かぬ 声 絞りて 暮れ惑う 夫(せ)なを 案ずる 樹海に 挿す 楔(くさび)に 睚(まなじり)を 聢(しか)と 磔(たく)した 儘で 愛(いと)しさも 愛(かな)しみも 叶うなら 儺火(なび)に 焼(く)べる 願うのは 只一つ 貴方に 生きて欲しい 見詰めて 其の 幼(いとけな)し 瞳(め)に 感じて あの子を 見付けて か弱しき 瞼に 生き抜く 祷(いの)りを 臍噬(ほぞか)む 声 震わす 侘(わび)しげな 背中を 見詰める 孺孩(じゅがい)を 只 守(まぶ)りて 泪を 堰き止む 貴方 愛(いと)しさも 愛(かな)しみも 叶うなら 儺火(なび)に 焼(く)べる 願うのは もう一つ 其の子と 連れ立ち 降りて 見詰めて 其の 幼(いとけな)し 瞳(め)に 感じて あの子を 見付けて か弱しき 瞼に 何より 生きて 其処に 在るは 幻 恙無(つつみな)き 彼(あ)の日は 此処には 無い しがみついて 得るのは 哀しみを 紛(まが)う 苦しみだけ 見詰めて 此の 潤む 瞳に 感じて 私を 忘れて 嬲(なぶ)られし 妻子(つまこ)を 仇(あだ)すを 止めて 喰らい厭(あ)きた 柘榴(ざくろ)に 説道(いうならく)の 嘘を知る 甦る 讐怨(しゅうえん)よ 燃え上がる 恨みの 火に 焼かれて 死中に 仇(あだ) 討たねば