午前6時 顔を洗い 狭い部屋で一つずつ マシンの電源を入れていく 虫の羽音のようなかすかな音が鳴り その小さな箱の中に 新しい何かの流れが生まれたことが 分かる 今朝のゴーストは機嫌が良さそう 窓の外に 青く茂った銀杏の木々と 密集して立ち並ぶ家々 その僅かな隙間から 新宿の街が少しだけ見える 高層ビルの窓に金色の朝日が跳ね 返る それは光線となり 朝の僅かな時間だけ この部屋の小さな窓まで届く 空が少しずつ明るくなっていく いま この瞬間 俺と ゴーストの ふたりしかいない もう何年も こうして音楽を作り続けている 音楽には何か秘密が隠されている そのことだけは 少しだけわかりはじめている 残された時間 あと何回 この心臓は脈を打つだろう その時間だけを持ち寄って 毎日 確実に歳をとりながら 仲間と 家族と いまも東京で暮らしている 作りかけの曲 書きかけのリリック 繰り返し この先もきっと続いていく 俺にはゴーストがついている