どう考へたつて無駄なこと どうしませうと考へておりました あの人がくれたレヱス編みに 悲しみをひとつ、ふたつ。 思ひ出せない記憶のやうに、 乾ききるまでは時間が要りました せかい、あなたが世界と仰る 部屋の外をひこうきがとびました わたしに翅が在つたことも 遠い昔の話です。 街の端に海があると わたしはなぜか昔から知つていた。 知つていた。 林檎の樹ゝは花盛り どうしていつもわたしばかり なんて空しい海沿いでさうと あなたのシヤツを 握りしめておりました 怖がることは何もないと 笑つてくれたらそれだけで 信號はすぐ變わりました。 人の生み出したみどりいろ、 でした。