遠く滲んだ願い事も、 剥がれ落ちたまま。 溶けた声が君を指して、 遠く、朝を呼んだ。 日の届かない場所で、眠る君と。 こぼれ落ちた日々を、 今は誰が生きているのか。 僕は空を見ている。 君が居た季節が留まる場所で。 僕らをとらまえる混乱ですら、 愛せる人間であればよかったのに。 後悔は流れ去る水のように、 一片の余剰をも残すことはない。 祈る声を忘れながら、 移ろう季節が。 伸びた髪を揺らすたびに、 また立ち止まった。 その声と姿へ届かない手に残る、 何の意味もない温もり。 棄てられたら。 誰も触れない綺麗な悲しみを 前にして、 この夢が終わること、 受け入れて歩いた。 だけど君の声に、 どんな慰めも及ばなくて。 歩き出した道は、 君が居た季節のままだった。 僕は空を見ている。 滲んだ願い事が消えないように。