「時々思いだすんだ。 本当に、 どうしようもなく子供だった。 でも、 そんな俺をあいつは助けてくれた。 自らを犠牲にしてまで。 なあ、 ヒーローってのは……そういうやつ の事を言うんじゃないか?」 壊れかけた夜空に いつか灯った小さな星 頼りない運命に 弄ばれるがままのように 寡黙の仮面の下 孤独を覆い隠しながら 歪な運命交差 その果てを見つめている あまりに多くを見過ぎた けれどその心の奥底ではまだ―― きっと世界の全ては下らない 信じる価値もありはしない 生きる程に嘆き窒息して 滅びに向かっていく けれど眠れぬ夜に天空に高く 望む星の光のように 微かなる最後のその希望を 今も信じている 「多くの人が騙され、裏切られ、 嘆いた。 もう、沢山だ。 最後に傷付くのは、 俺一人だけでいい」 世界は病みを抱え 地獄のミニチュアのように 神も魔女も併せて 作り上げたこの惨劇 そうださしずめ君は 悪趣味なこの舞台の上に 縛りつけられながら 心を毒されている 何も変えられなどしない 己を嘲笑う声に問いかける―― ならば孤独に消える物語 指を咥えて見ているのか? 少女の涙に何もできない お前は何なんだ そうだ 何も終わってなんかいない 約束一つ最後まで 今は仰ぎ見ることもできない あれがお前の星 その道 きっと正して見せる 繋いだ命を賭してさえ 双眸に 嘗てない決意を秘めて 立ち上がれよ 「すまない。フランチェスカ。 だけど、これでいい筈なんだ。 君を救ってみせる。 かつて俺がそうされたように」 それが少女が病める世界ならば 世界にだって立ち向かおう そんな残酷な筋書きなら 俺が変えてやる それが喩え一つの欺瞞でさえ 噓を吐くのは慣れている その心に今も巣くっている “少年”が叫ぶ 昏い夜空に いつしか背を向けた 星よ 果たせる贖罪 どうか見届けてほしい