故郷から背負ってきた思いたちは あまりにも重すぎて一先ず 駅のコインロッカーに収めた ひっくり返したゴミ箱みたいな この街にも やがて朝は来てくれるのだろうか 東京は冷たいアスファルト 都会の匂いがする風を 胸いっぱいに吸い込んだら ひどくむせて涙が止まらない タワーかツリーがぼんやりと 滲んだ目にも眩しく映るのは きっとまだ諦め切れない 私が此処にいるからだ 忘れちゃいけない コインロッカーに 預けた荷物を抱いて この街に出てきた あの日のことを 忘れちゃいけないのだ 東京は冷たいアスファルト もう歩けなくて倒れ込んだ ネオン渦巻く空向け吐いた 唾は自分にかかってきた 東京は冷たいアスファルト ようやく迎えにきた朝に しがみついて私は 今日も無常なこの地面を 踏みしめ生きてゆく