春の匂いが消えた朝に 漠然とただ帰りたかった 雷鳴が響いていた 空洞の躰に 確かに 水彩の街を彷徨って わたしは海を探していたの 白昼夢ですれ違えたら 次は間違えるはずがない その眼差しは色づいた? いっそ絵の具を溢してしまえば 水平線は滲んで 景色は一様に青くなかった 夏の匂いを忘れた頃に 思い出した名前を呼べないままで 疚しさを匿っていた 藍色の心に ひそかに 時計塔を筆でなぞっていた あなたは何も知らないままで 白昼夢にずっといれたら 生活はもう必要ない その手のひらは色づいた? 電飾が絡まってしまえば ひかりのかけら飛び散って 季節は一様に青くなかった 失ったふりをしていた 手足に錠をはめて 火を放たなければいけない 忘れたふりをしていた季節の蓋を 閉じて そして残る色を知っているから