君の背中はもう見えない まだ何も伝えられないまま 肌寒くて人恋しい季節のど真ん中で 君の隣に立っていた 時を経るほどに心が痺れて 仕方なかったんだ 分かっていたんだ (過去に潜ったって こびりついたノミが心臓を) 蝕むから 街の喧騒も 幻想も ごちゃ混ぜになった今日が 私を望むから 君の身体も心も全部奪い去って 誰のものにもならないように 醒めない夢の結末はきっと 刹那に溶けていた 言葉にするのも全部無駄になって やがて夜がさよならを告げて 皺くちゃなままの思いがずっと 離れないまま祈っても 霞んだ声は空虚に返る 冷たい風が頬を撫でている 街角に佇む 二つの影 心は雨模様 表情も 格好も 君だけに繕って 恋焦がれたんだ 揺らいだんだ 刹那の中 溶けて消えそうな 感情は 苦くも甘くて 私を作るから 君の身体も心も全部奪い去って 誰のものにもならないように 形にするほど声が詰まるの 何も言えないまま 後悔するのも全部糧になって やがて春がはじまりを告げて 現実はいつも残酷で 嗚呼 後ろ姿だけが 私の目に映っている いくつもの選択を 選んできたけれど見つからない 何処かへ遠ざかる君を追いかけても もう 掴めはしないから もう一度 二人だけの世界で息をして もう二度と もう二度と 言葉にしたその 全部砕け散って やがて恋はさよならを告げて 皺くちゃなままの思いがずっと 離れないまま 儚く散ってゆく 君の背中が霞んでいく 涙がぽつり さよなら独り 君の背中が霞んでいく この街から君の姿はもう見えない