雪どけ間近の黎明 かじかんだその手を握って 飛びたつ鳥たちの声 仄暗い空の向こうへ おとした瞼の裏で 溢れ出す記憶をこらえ 始発前の海がみえる駅へ 歩きだした その手をひいて いまはまだいらないもの ひとつだけ置いていってよ 借りたまま色褪せたあと 返したいから うちよせる発車のベルで にぎり返したその手を放して なるだけいつもするように 小さくこの手をふった なにかを告げるように雪がふる にじむ背中を押した さよならは言わないで 照れくさいから 生ぬるい風が鈍感な頬つねると 永い夢から目醒めた いまはもう言えないこと 口ずさんでみおくるよ ポケットのなか しまった手で その未来をだきしめて ただ
