一つ訊ねてもいいですか 思い出とはどんな形で どんな温度 どんな柔らかさ 何から出来ているのでしょう 時に私は感じるのです それは雪の一片なのだと あなたと過ごした時間だけを 中心に出来た結晶 さよならしたあなたとの結晶は 誰かの温もりで 融けてくれますか 崩れて雫になり頬を流る ずっと降る雪が心の中染めていくの 遺る瀬無い想い 白い吐息 空に消える 一つ呟いてもいいですか 人の心は月の様で “誰もその裏側を見られない” そう言われているのです そして私は感じるのです 笑うあなたも見られぬ様にと 心の裏で涙零して 光遠ざけてたでしょう ふと見上げた夜空に佇む月 路地の裏にさえ 光を落とし 些細な悲しみさえ 照らし気付かせ 月の灯りと冬の星座 降る粉雪 私の頬でそっと融けて伝ってゆく もしもこの空を飛べたなら あなたの元へ 頼りない氷の薄羽を あなたの優しさで 融かして そして 戻れないようにして ずっと降る雪が 心の中染めていくの ずっと降る雪が 心の中染めていくの 遺る瀬無い想い 白い吐息 空に消える