1年たってまた1年 景色はみるみる色あせていく 君の青春も色あせた 新宿のかたすみで夜の景色になった ひどく暑いかひどく寒いか 眠られぬ長い夜がつづく 残ったものはカラの酒びん 一生かかっても返せない借金の山 悦子よ君の女ともだちも みんな結婚してしまいもういない 風の便りに聞いたなら ひとりづつ子供もできたという ひとり飴色の空を見上げ 悦子よ君は何を思う 自分の一生を重ね合わせても まだはみ出してしまう淋しさのこと 君が苦しくて泣いた時 ぼくは君に全部話してごらんって言った でも君が本当のことを話し出した時 ぼくは君を遠ざけるようになった 夜汽車の中の結婚式 油臭い長距離トラックの墓場 ぼくらは公園の柵にもたれ 道路になってともだちに逢いに行こうとした 君と暮らしたあの部屋にゃ もう君もいないしもちろんぼくもいない ただぼくと君の二つのシミが 今もなかよくすわっているような気がする