もしもし 大工さん ぼくの窓わくを とりはずして下さいな 屋根がくずれ落ちても かまわないから 柱ももういらないのです トンカチトントン始めて下さいな この猫背に釘を打つのです 足元ばかり見て暮らしていたら ほら何も しゃべれなくなってしまいましたよ とめ金をはずしたら何が出る 出るよ出るよ ふところから色気やあくびばかりが ほらぼくだけの季節が かけっこしている 君は酔っぱらって町をひとまわり 表通りには着飾った女たち 裏では悲しげな男たちが肩寄せあう 破れたカーテンが風にふかれて 誰かさんの秘密がこぼれ落ちた 真夏の日ざしは肩を焼き 水の流れは足を凍らす やせたのどがつぶやいている 今夜幸せなのはどこの誰さんだい もしもし 大工さん ぼくの窓わくを とりはずして下さいな