「ねーねー! あの人達、夢を見ているね!」 「そう、 あれは 切ない物語の始まりだからね。」 「えー! ぼくにもそのお話、聞かせてよ!」 「そうかい? じゃあ少し覗いてみようか。」 見て見て見てごらん お話のはじまり なんでコーヒーと鉛筆の匂い? あの人間は物書きだよ 寂しい背中をしている 出身は…おそらく… カプシャロットあたりだろう 見て見て見てなにか お話しをしてるよ 少年は物書きに 飲み込まれていくようだ なんでフランスパンと彼の悪夢が 手を繋いでるの? 少年は進む 物書きの悪夢の物語へ 少年は進む 現(うつつ)を侵すうみへ 「どう? このお話、 2人は最後どうなっちゃうと思う?」 「え? だって悪夢を 見ているのはこの 物書きさんだけなんでしょ? 少年は関係ないじゃない!」 「ううん、 これは2人の物語なんだ。 次は物書きがどんな悪夢を 見ているのか、 教えてあげようか。」 見て見て見てごらん 巣くわれた命を 見て見て見てごらん 馬鹿な春の虫を 見て見て見てごらん 美しい悪夢を 見て見て見てごらん お話の続きを