ある日を境に 先生の姿は街から消えた 静かな公園 カラスを灼く陽炎 先生のいた証は 電球の海の世界 夜が更ければ 確かめられる 痛みとともに 僕らの夢を 気づけば私は先生の記憶を 殺していた インクの匂いは懐かしいはずなのに 齧り取られてゆく過去 代わりに私は物語(かた)る 美しい海 琥珀のくじら 群衆の真ん中で 次の私を探す 飴上がり虹を映す 輝く海に帆を立てて あなたも私も夢幻の海の一部だ 私が物語るあの世界には 終わりがない あなたと私の白昼夢が続く限り ……全てを失う覚悟はあるかい? 絶望の朝にフランスパンを抱える あの人のように