白い息が鼻先をかすめていく 呼吸が呼び起こした 重なる記憶 賑わう街の中に取り残されて 古びたフィルムのような 灰色の景色 今もあの日のまま 二人が離れずいた未来では 君と笑いながら 過ごしていたのだろう 消えないように名前を呼ぶよ 思い出が色を無くさぬように 君といた日々が 遠い季節の 過去に変わっていく 二人で決めたはずなのに 今もそれが切ないよ 街にはそこかしこに 散りばめられていた 二人にしか知り得ない 僕らだけの温度 冷えた冬のおまじない それなりにこっちは 上手くやってるよ 君に話した夢は 今も追い掛けているよ ただ一つばかり 君がいないだけ 色褪せて消える それだけの事 電話越しのその声に 何度も救われて こっそり泣いていた 「そっちはどう?」 なんて心配しないで 僕が言う事はもうわかるくせに 形のない不確かな事実に 僕らは名前をつけて 「思い出」と呼び合った 心の奥 命のすぐ側 それでも消えない 名前がここにあるから もう大丈夫なんて まだ言えないよ やっぱり会いたいよ 鼓動を刻む度に今 痛みは薄れゆくだろう 降りしきる雪のように 君との日々が白く染まっていく 失くしたくない痛みならある 記憶の欠片の中に