夕べ、雨上がりから 処暑を過ぎたから 秋の匂いがする 風邪は引きたくないな 金色に染まったらあなたの街まで 「月が綺麗だな」 「死んでもいいわ」 飛んで止まってを繰り返す アキアカネの軌道に乗って 羽織ったシャツが長くなる それを理解した月明かり 遠く夏は確かに其処にあった 遠く離れたのは僕でしょう 雨上がり夜風が涼しくて 胸踊り自転車を走らせる 間違いに気付くのが遅すぎて 悔やんだのは僕でしょう 花になって風に乗った 声を聴いて蘇って ゆらゆらゆらと待っていて 枯れかかった僕にとって 足りなかった夏のこと 今になって分かるよ 夕べ、考えたから 待たせ過ぎたよな 風が焦らせてくる 少し痩せたみたい 「強く生きねば」 虫が息をする 松虫がチロリと鳴いた 「死んでたまるか」 虫の息をする 弱くならないように 遠く夏は確かに其処にあった 遠く離れたのは僕でしょう 立ち上がりあなたの名を呼んで あわよくば、気持ちを走らせる 月明かり照らされ恥ずかしくて 悔やんだのは僕でしょう 花になって風に乗った 声を聴いて蘇って ゆらゆらゆらと待っていて 枯れかかった僕にとって 足りなかった夏のこと 今になって分かるよ、秋の日々