蒼い蒼い空を隠す 黒い雲を従えて 遠い国からやってきた 可愛い名前の君 暑さに飽き飽きした 人は皆疲れ顔 急に冷え込んだ空気に 不安を隠せぬままに 足早に家を目指す 子らはどこか楽しげで 風は勢い増すばかり 犬は家へと仕舞われた 錆付いた塗炭の 屋根を大粒の雨が 叩いて跳ね返っては 温い土を慰める 踊れ踊れよ ざわめく街で 街が湿気に 沈み混む前に 人は皆汗だくで 右へ左へ大忙し そこなおじさん ご自慢の家の窓は閉めたか 「カエセカエセ」と叫ぶ子は 何を想って叫ぶのか 今宵ばかりは山の怪も 口を塞いで黙り込む 急げ急げよ あの娘を探せ 知らぬ誰かに 攫われる前に