「幽霊を知っているかい、 気味が悪いとか蹴らないで」 「無色に近く透明で、 大人に聞いても知らんぷり」 当たり前じゃん。 と笑うけど、 考えたことも無かったんだ。 子供にしか見えない。 けれど、嘘ではないかもね。 大切なことも 目に見えるだけじゃ無いだろう。 シワができたとか 徐々に大人になった。 喉を裂く君のナイフが、 作り物みたいで綺麗でした 。 蒸発もしていたんだ。 現実より小説の方がいいと 願うだけいいだろ。 「もっと、ねぇもっと、 生きたかった」 潮の匂いが鼻を突き刺した。 この街を嫌いになる 理由を探していた、 寂しかったんだ。 雁来月、 並木の夕暮れを背中に後ろめたさが 残る。 大人になったとかどうでもいいよ、 いいよ。 なんてしたって、 時間は過ぎてくから。 物語に縋った。 膨らんだ頬を裂くナイフを 手にかけて震えた。 喉を裂く君のナイフが、 作り物みたいで綺麗でした。 蒸発もしていたんだ。 現実より小説の方がいいと 願うだけいいだろ。 まだ、わからないんだよ。 「いなくなって、ごめんね」 夢にまで現れて地獄だな。 暑い。寒い。眩しい。暗い。 全てを分かち合いたいんだ。 「幽霊のこと覚えてたんだ、 そっか」救いなんてなかった。 今日も寝たきりで終わる。