その日常は当たり前すぎて 日記帳なんて必要無かった。 「旅の支度をしよう」 みたいな話を繰り返す。 カレンダーをめくる小さな音。 ヘッドホンから漏れる微かな音。 始まりの合図なら聞こえた そんな気がしていた。 僕らの間違いは 誰かのせいにしてしまえばいい。 そのままで二人は 他のものを全て消した。 買ってでも知った苦労があって 多分いつかそれも忘れる。 「旅の支度が出来たみたいだ」 そんな嘘をついて。 僕らはまた今日も その先を選んでしまったんだ。 雨のなか二人は 深く眠るふりをしている。 明日のドアの鍵は まだ開かないようだね。 水の泡みたいだった。 二人は美しい。 僕らの間違いは 誰かのせいにしてしまえばいい。 これからの二人は 雨の中をただひたすら歩く。 歩く。