Track by故やす子
いろとりどりのランタンは気球の形 赤や緑があっちこっちへと反射て (はねて) 嗅いだことのない匂いは 名前も知らない国へと誘う (いざなう) 花弁が素数だという花 煙をたたせるゴブレット 昼間の光を放つ石 遠い地にいた少女の髪束 何処の誰なのか、謎の肉 床店の店主の髭は豊かに靡き 太い指で弦をおさえる 鳴り止まない旋律は協和を知らず 誰かはそれに郷愁を重ね 誰かは不安で涙を流した どうぞご贔屓に、どうも 次の月のない夜に また会えたなら、その時はきっと