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三角先生に会ってきた

Track by故やす子

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  • 2023.08.07
  • 3:58
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歌詞

空は青すぎる程青く、 雲は白すぎる程白く、 煙は高すぎるほど高くのぼっていく シャツのボタンを 一番上までとめて、 いつもより息苦しさを感じていた 黒い群れの中を泳ぎ、 やがて辿り着いた場所で、 僕は周囲の真似をした 心無い儀式をする だって、まだ何も感じない 喪失も悲しみも、 共に過ごした時間と 比例するものだから 連絡をくれたのは、 もう何年も音沙汰がなかった 同級生だった サンカク先生が死んだらしい と、彼は 挨拶もそこそこに気落ちした声音で 言った 僕は一瞬誰のことかわからなくて 「サンカク先生」 と何度か呟き、 やがてしわくちゃの白衣を 思い浮かべる 三角先生はあの小さな町で小さな 病院を営む医者で、 「サンカク先生」 というあだ名で皆から 慕われており、 僕は彼のことが嫌いだった だって、 子どもにとって医者は 医者というだけで天敵だったし、 サンカク先生は 確かに優しい人ではあったけれど、 とてつもなく注射が下手だったのだ 僕は何度も「痛くないよ」 と偽る彼から下手くそな注射を 打たれている 子どもの時に打った予防接種は、 全てサンカク先生によるものだ 何本打ったかだなんていちいち 覚えていないけど、 一本打つごとに僕はきっと 彼のことを嫌いになったに違いない 最後のお別れですので、 是非お花をおさめてあげてください 渡された花はサンカク 先生の白衣みたいに真っ白だった 何十年ぶりかに見る先生の顔は、 「そうそう、こんなんだったよね」 と思えるはずもなく、 全く知らない 何処かの誰かみたいによそよそしい 少し茎の折れた花を、 サンカク先生の顔の傍に添える こんにちは、サンカク先生、 お元気でしたか 口には出さずに語りかけ、 やがて沈黙する かけたい言葉なんてあるはずもない 「先生のこと、嫌いでした」 内緒事を打ち明けるみたいに小声で 囁く 皆に好かれていたあなただけど、 僕は嫌いだったんだよ もちろん、先生は何も言わない でも、少しだけ、 穏やかに笑っているように見えた まるで「知っていたよ」 と言わんばかりの

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