もう一切は はじめの姿残し 乱れるままに任せ 振りきった針をさらに進めて 別の何かへ向かう もっと遠くにあれば 知らないでいたのに 目に見えるものには 目もくれないでいた いっそ軽くなれたら 気まぐれで生きたら 濃い霧の中でも 迷わずに辿りつけた 一切は はじめの姿に戻り 元のすみかへ還り こわれて 置き去りにされたものが 証しを求めて 踏み絵の上で 一緒くたに並べた 古傷の中から そっと選んでみせる 不確かな記憶 ふと触れた心も 手の内は見せない 不揃いのたましい 言葉尻とらえられて たえきれないくらいの 時間を追い超して 超えられない不安を 追いかけつぶされて 一せいに すべての音が止んで 人の気配さえ絶えて なるようになればいいと思った こんなに疲れて 笑い合うよりも 風景はどういうわけか いつも同じに見えた ふと思い出すたび 何もかも消えた ずっと思い込んでる でたらめの記憶も 薄い時を束ねて それなりになじんでゆく たえきれないくらいに 不安を抱えて 出口のない時間を 追いかけ 追い超して 何もかも許される 時代がはじまった