信号を待ちながら 頭の中でしりとりをする 噛んでいたペパーミント・ガムには もう味がない 喫茶店のドアには よくわからない虫が一匹 道路の端で斜めのまま ポール・コーンが寂しげだよ どうしてあんなことを 口走って君は行ってしまったの 君が拾った化石の話を もっと聞かせてほしかったのに 雷を呼びながら 真夏の雲は偉そうにする 飛び越えた水たまりには 吸殻がひとつ 石垣の隅には けたたましい蝉が一匹 四度に冷えたコカ・コーラが オート・ベンダーから飛び出したよ どうしてあんなふうに 取り乱して君は行ってしまったの 僕の狂った時計の針を ちゃんと戻してほしかったのに どうしてあんなふうに 五月蝿がって君は行ってしまったの 君が忘れた映画の名前を 僕は思い出していたのに どうしてあんなことを 口走って君は行ってしまったの 君が拾った化石の話を もっと聞かせてほしかったのに