気取ったその店のルーム・ランプ 熱さ仄かに照りつけ その影は淡く滲む ゆらめいて グラス越し たわんだマニキュア 不器用なマーブル描いて ため息は温く冷える 溶け込んで水になる 忙しないその理由 判りすぎるせいでくたびれて このままここで 眠りはじめてもいいけれど それはしない 黒ずんだベルが響けば 衣擦れはシトラス漂わせ 戸の傍の風車 くるくると回りだす ダーク・グリーン 散らしたペイズリー 纏った彼女は 気怠い街の波を掻き 分けることもせず 涼しげにくぐり抜ける 忙しないその理由 心軋むものが見えすぎて このままここで 眠りはじめてもいいけれど それはしない 乗りかけた列車 見送り 歩いてゆく見知らぬ街角 気取り屋の子供たちを 横目に見ながら 彼女は