その宮殿は 深い雲と霧の奥 その風景は 芥子の花が咲き乱れた 洞窟を抜けて、聞こえるのは 唯 冥界を流れるレーテ河の水の音だけ 夜が地上にやって来る度 眠りの花を撒き散らす ピュプノスの魔法 柔らかなスポンジが 冷たい水滴吸い込むように あたしの全てを 受け止める振りをして 洞窟の中 迷わぬように 記憶が深く 静かなところへ落ちて行くまで その宮殿は 黒い絹の寝椅子がひとつ 闇に抱かれて 聞こえるのは 唯 眠りの神に集う 姿なき「夢」の音だけ 微かな足音 怯える夜に 眠りの花を撒き散らす ピュプノスの魔法 あなたは眠らないで やさしく髪を梳かしていてよ あたしのからだが 熱を逃さぬように 忘れられない 忌まわしきその 記憶が深く 静かなところへ落ちて行くまで
