歌が聞こえる 暗闇の向こうから 僕の代わりに それは歌ってる 歌が聞こえる わずかな隙間から 木漏れ日のように 僕を照らす 物語は音になり届いた 目は見えなくとも耳は聞こえた 頼みの綱もない 孤独かもわからない 歪な足元から青空に変わる そんな気がした 歌が聞こえる 不意に漏れたそれは どうやら僕の 口から出たらしい 柄にもないが 気が紛れるように もう一度だけ 強く放った その時 驚いたんだ 暗い洞窟がそれを 美しく響かせている 音は物語になり生まれた 僕は生きていたいと叫んだ 灯りはとうに無い 絶望しか残らない 歪な岩壁すら 味方に変えて 反響する歌が外に届いた それに応えて 誰かが歌った 一人じゃなかった 見えてすらなかった 歪な闇の先で 光の音を辿る