降り出した錆鼠の時雨 立つ霧に卯の花も腐す 湿り気を吸い込んだ表紙 憚られる意趣を盗む 止まらない底抜けの渇き 糺せない生硬い軋み 相容れない意思と肉体を 隠す様に袖手を覆う 所詮、交差に過ぎない線たちが 何故この身を此処まで締め付ける ひたすら飲み込んでは吐き捨てる その循環に終わりなど来ない! 言葉じゃ何にも解かんない 画面に映る惨状も いつしかすんなり 慣れてしまいそうで怖い 逃れ憑かれた偏執病 のらりくらりの残像も 一体何時まで付き合っていけばいい 怖いの辛いの痛いの 取分意味がある訳ない杜撰な今を 啄むのみ独創性!? 片腹痛い単純なことに 鼎の沸くが如し 告げる前に失ってしまうなんて 認めることが遅すぎたのでしょう 記し損ねた「出来事」なんて もう何も誰も覚えていない どれ程まで理性を尽くしても 脳に居坐わる狂気に敵わない 落伍者の道すがら残された なけなしの青春も刻まれた心傷も その全ての犠牲に報いや救いなど 金輪際、来ない! 言葉じゃ何にも換わらない 説明できぬ感情も何時しか 「名前」がついてしまいそうで怖い 眼裡に群がる寄生虫 拗れちまった先入観も 一体、何処まで抱えていけばいい 怖いんだよ そうやって生活は 甲斐もなく過ぎてゆく 生老病死・愛別離・怨憎会 求不得・五蘊盛に苦しみながら 藻掻きながらも生きるしかない それ以外術がない「事実」が何より 怖いの