叱咤たるや罵詈雑言 横断歩道に並ぶ鴨たちの大合唱 耳すら呆ける 怠惰たるや曖昧模糊 白線の内の寄りたる死角と賽子 「漆」を刻んでいた 周回遅れの煩悩は 高架線具に突っ切った 蛍光を返す土瀝青に 下水の臭味が纏わりつく 救いのないあられもない 鈍色の霧じゃ何処にも行けない 誰かの排瓦斯吸い込みながら 喧噪の中に溶けていく 「アンタジャナクテモカマワナイ」 「アンタガダレデモツマラナイ」 無い無い無い無い 何処にもありゃしない 言葉も足りない 這い蹲っては仰け反る 大体大概潰しがきかない 理想も何も 黒山の波の呑まれた 何度も自尊は容易く踏まれた 何度も澱みを啜って生きていく 今度はもう己を過信しないから 何でかあの頃を思い出す 「なんだか…」 蛇の目の傘々を抜け出して 管々集った小道に入った 南蛮煙管の吐いた煙と ポツリ零れる雨の音 猫を被った軍服少年 擦れ違い様、唾を吐かれた 髭だけ只管蓄えて 踵を返して何処へ行く この都市は必ず亡者を喰らう この都市は序に生者を喰らう この都市はその内自身も喰らう 底無しの胃袋、大漢食 この都市は必ず亡者を喰らう この都市は序に生者を喰らう この都市はその内自身も喰らう 底無しの胃袋、大漢食 咄嗟に止んだ足音 その隙に影に潜る気配 案ずることはない 今の僕に失くす物はない 無い無い無い無い 何処にもありゃしない 言葉も足りない 這い蹲っては仰け反る 大体大概潰しがきかない 理想も何も 黒山の波の呑まれた 無い無い無い無い 何処にもありゃしない 居場所も何も 抜け道求めて探した裏路地 大体大概、目的地へは行けない 辿りは着けない 己が一番理解っているのに 何度も叶わぬ期待を滑らせ 何度も身の程知らずに気付いてく 何だか視界がもう 段々ぼやける 何でか貴方を思い出す 「さむいな…」