Track bySATORU ONO
東に向かって続く川沿いの道を歩く 橋を渡る頃 遠くの空が雲で陰る 話疲れたら立ち止まって星を探し 音を立てないように近づいたら 手を伸ばす 深夜の映画の滲む銀や 硝子戸の透き通る青い泡が 眼に焼きついて 離れなくて 金星と電話できないまま 丘から見下ろす大通りは夕暮れに 紅い灯が入り 浮き上がって素描に変わる ずいぶん前から 知っていたような景色 何世紀あとの 同じ日に出会う景色 終電車から見る夜の街と 地上を染めていく朝の雨に 心奪われて とらわれて 金星と電話できないまま