干ばつの春が続いて ブリキバケツの中 猫が鳴く 揺れるアカシアの合奏 雨雲の薫りに胸は躍る 涸れた太陽に潤す涙 それはあなたの内なる海 砂漠は一夜限り 泥の女王国に 泥濘んだ朝の吉報 号外の見出しが空を舞う 教会はすでに浸水 讃美歌の響きに胸は躍る 眠りから覚めたらきっと あなたはもう 何もかも覚えていない 僕のことすら 晴れた最後の日 輝いた虹 それは僕らの生きた証 恋をした 僕は恋をした その広い海に 触れないほどに 見えないほどに あなたで満ちた泥の国に 嗚呼 僕は溺れていたい 夏が息を返すまで ひとねむり