幾つもの山を超えて辿る旅路 百の川と万の森と一億の家を 通り過ぎる度に私は 自分の起源から遠く遠く 逸れてしまった巡礼者のように 導きの鐘の音を探している 今しがた通ってきた 細い小道の向こうから 母と そのまた母達の呼び声が聞こえた 一度だけ振り返る そしてまた歩く 歩く 遠ざかる光の波に 溶けてゆく僕の足跡が 緩やかに身を委ね抱きしめる 孤独の眠りも 僕は足跡を刻む 寄せては返す時の波に いつか拐われると知っていても 生まれ落ちた時から人は 尊い異邦人 歩く 歩く 今いる場所から できる限り遠く 僕が生きた跡を刻みつける 止め処なく流れる時 いつまでも響く君の声 触れていた全ての出来事に 懐かしく包まれ 遠ざかる光の波に 溶けてゆく僕の足跡 緩やかに身を委ね抱きしめる 孤独の全て