忘れたくないものがあった 手のひらに落ちた花雫にて 綺麗なものだけを ただ見たくて 残したくて 極彩色に光る 嘘を 本物と見間違えてきた 君が寝ている横にただ座って 物書になる夜が好きだ 色は淡い色を使って 薄く長い日々を塗れるものと 永遠は無いと知っていたのにな 別れの挨拶に来たんだ その声は酷く震えていて 振り返らずにさよならだ それはさ ちょっと 狡いじゃないだろうか 優しいフリは嫌い 優しい嘘も嫌いなんだ 偽善のバケモノで 犠牲の中 今日も誰かが厄を背負うのだ 君に渡す予定の花束は枯れて 無彩色になっていった それからは悲惨なものだった 魂を何かに売ってしまったように 自分自身に詭弁を弄していた 描きたくない物も描いた "成りたくない大人"にも成り果てた 振り返らない君 傷んだ 冷めていく音が 鮮明に聞こえる 蕭条に それはきっと夢だったんだ 君が傍に居てくれたんだ 魔法みたいな夜でした だから、だから、そうだ 君はきっと夢だったんだ 僕が描いた理想で 実は居なかった そんなことなんてあるかよ 記憶の奥の君 描いた 指先に混ざる色を集めて 歪な凹凸を孕んだ 僕の嘘は見透かされていたんだ 花弁三枚に願った どうか 君を忘れさせないでくれ これからの日々 どうしようか 粗末な芸術も、優しさも、 真実も、要らないよ 花雫落ちて 色彩に溺れる