冬枯れの小さな駅前で 少しのあいだ きみをさがそう 一時間ごとの バスに乗るために 集まって来る人々の中に 夏近いのどかな海岸で こどもをつれたきみをさがそう 打ちよせて消える 白い波の輪に 笑いさざめく人々の中に 目を閉じても 目を閉じても 待ち人来たらず 佇むぼくは 日時計になる もう愛せない もう愛せない 伸びすぎた影は宵闇にまぎれ ベイルおろす 春浅い垣根のあいだから 通りを急ぐ きみをさがそう くゆらすたばこの むらさきをすかし とまどうように ほほえみかけて 目を閉じても 目を閉じても 待ち人来たらず 佇むぼくは 日時計になる もう愛せない もう愛せない 伸びすぎた影は宵闇にまぎれ ベイルおろす