「結婚したんだ」って 手元を光らす友達が忘れられない ひとつも笑えない飲み会の 愚痴(ゲロ)は誰にも吐けずに 朝が来た 型の付いたソファを一人分 余したまんま座った 髪を梳かす気力も無いし 寝そべってそこを埋めよう 今年の11月を暖めたのは あなたじゃなくストーブだった また冬が来て唇が乾く あなたと舌を絡めあったあとみたい 女は勝手に可愛くなるものだと あなたは思ってたかもしれない けれどね ちゃんと教えてあげるわね 泥臭く徒労みたく 泥仕合のようなドローを繰り返し やっと覚えたってのに あなた好みのメイクは無意味 今日も早起きして ゴミにゴミを飾っているみたいだ これは誰のためのオシャレ なんだろう? 私はジェーン 聞き覚えないですか 全然私は平気 あなたがいなくたって なんて余裕があるふりをするのが 段々上手くなってる ねえねえ話聞いて 私も強くないんだ 「結構下だね」って茶化された ことがある意味誇りだった こんな餌でも撒き散らしときゃ 活きのいい魚は釣れるもんだな ってね 型の付いたソファはさながら 魚拓のように映った 飾る価値なんてもう無いし 来週には捨てちゃおう 今年の11月を彩ったのは あなたじゃなく枯葉だった また冬が来て指先が凍る あなたが遅れて来た誕生日みたい 女だってことだけで なんとかなるなんて思ってた 「歳の差は隔たりじゃないし」 それに甘えた結果だ あの日の飲み会 私なんて言っていたっけ 「夢を見るなんてダサい」とか またひとつ大人びていたんだ 無理して笑った顔に 可愛いねなんて煽てて 私が傷付かないとでも思ったの? 私はジェーン ありふれた名前でした 清々したよ だってこれからは 自由なんで なんて余裕があるふりをするのも 段々辛くなってる ねえねえ私なんか変なこと 言ってるかな 春が来たって花芽吹いたって 花粉に殺られるだけだって これは青春なんて言うには 熟れ切って売れ残っている 気に入らなかった私の名は いつからか あなたが何度も呼ぶから… その名を縛って欲しかった 薬指に似合って欲しかった 日焼けして妙に変な匂いする アルバムを久しぶりに開けて 一緒に捲ってみたかった 私はジェーン また呼んでくれませんか ごめんね私なんか あなたがいなくなって なんで余裕が無い日が続くのか 段々分かってきちゃった ねえねえ忘れないで 私の名前だけは