夕涼みにひぐらしの音 途切れた言の葉が土に染みた 蹴とばした靴が川に沈む ずぶ濡れの命が滲んでいた 蛍火のような星になりたい 水辺を飛び回る夏の隅で 沈む太陽に泣かないように 二人はいつものように指を絡めた それはそれは遠くに響く 夢と未来をかき消すような サイレンは泣いたように聞こえて 沈みゆく未来をただ見ていた 夕焼け空を泳ぐ魚は 嫌いだったこの街を平らげた 消し飛ばしてよ この心もろとも 人一人を殺せたならヒーローだ だからさ 僕はさ行かなきゃいけないんだ そう言って君も赤く染まっていた 啼いた空の果て 灰色の靴 私の心には君の影が 消えないんだよ 亡霊みたいだね 過行く街並みは陽炎みたいに 揺れる揺れる 遠ざかっていく 落ちる砂に埋もれるように どうしてわからないのでしょう 君に咲く花の一厘になれたら この手の先に明日があるのなら 手繰ってまた夕日に逢いに行こう 消し飛ばしてよ この心もろとも 少しずつ色あせる君の記憶も 崩れたビルがまるで墓標のようで もう蝉の音は聞こえなくなった わからないんだよ どうしたらいいんだろう 焼け落ちた街でまた笑えるかな 消し飛ばしてよ この心もろとも 君の亡霊が泣いているような空を 誰かが平和の歌 口ずさんでも 私の耳には聞こえないけれど