小さい頃おやじにつれて 行ってもらった銭湯の 脱衣場は野球の話ばかりで たいくつそうにしている俺を 見つけおやじが買ってくれた コーヒー 牛乳がたまらなくうまかった。 家に帰るとはだかのまま ビールをうまそうに飲んでいた お前もどうだとからかわれ 口をつけたあのにがさが こんなに美味く 感じるなんてほんとわらえてくるよ ね 兄貴に仕事をまかせて俺は 引退するよと 言ったしりからすぐに 口をはさんでいた きっと死ぬまでおやじは 仕事をしたかったんだ そんな気持ちが今になってわかるよ 最後の家族旅行で撮った 写真の笑顔は 何よりやさしく誇らしげだった 必死に働き守り続けた人生の証は みんな元気で頑張ってますよ。 家族ができました。こんな僕にも今 この命をかけて 守りたい人がいます。 歌が好きだったおふくろの背中で 聞いた子守唄 少し濃いめの演歌ばかりで 初めて買ってくれた レコードもやはり演歌だった でもなぜかいやじゃなかった おやじの泥だらけの仕事着兄貴と 俺の汗臭いユニフォームを 洗う背中を一生忘れない。 ありがとうなんて言えば 「早く宿題を済ませろっ」て 照れながら言ったんだろうな。 俺が東京へ行く時涙まじりの小さな 声で 顔もみせずに「気つけて行きやっ」 て 元気でな たまには帰ってくると」 言ったあとこらえていた 涙があふれて止まらなかった 今じゃ小さくなった背中は寂しく 見えるけど 俺の中ではあのころのまま 大好きだった歌を聞かせてくれよ やさしくささやくようなあの声で 家族ができました。 心配ばかりかけたけど 素直に今は言える 本当にありがとう