波打ち際 過去をひとり指先でそっとなぞった 跡は 数秒後 水平線に攫わられて夏の果 断片的な記憶の中 時々見せた君の翳り 理由もわからないまま 今でもこの胸を騒つかせる ぼんやりと浮かんだ未来 そこにはもう君の姿はないんだね あの日もっと声に出せたなら ただもっと伝えられたなら 心を通わせられたのだろうか 失くした日々と夢の狭間 揺れた陽に想い馳せてる 時間すら僕を置き去りにする 本当はね 気づいていたんだ 終わりの後の静けさにも 変わらない毎日が何か 足りないことにも 固いドアの向こう側で座り込んでる 少年がほら 何も言わないけれど冷たい目で僕を 睨みつける 季節外れの雨音に隠すように 一人きり泣き叫んでいた どれほど後悔していても どれほど願っていたとしても 二度と戻れない日々にさよならを 寂しくて仕方ないけれど 震えが止まらないけれど 立ち止まることの方が怖くて あの日もっと耳を傾けて 君の声を聞いていたら 心を通わせられたのだろうか 失くした日々と夢の狭間 揺れた陽に想い寄せてる 時間すら僕は越えて行ける 見上げれば晴れ渡る空 今日まで励まされていた 青すぎるその青に泣けてくる 疑う弱さも戸惑いも 鮮やかに染めあげていく 潮騒が心地よく広がる 水平線 辿り着いた夏の果