田んぼをふき抜ける 春の風が 水面に映る空 揺らしてゆく まだ青い苗はただ静かに 明日を見上げている 赤子のように 何度も繰り返した日々は 今も胸の中 まだまだ残っているよ ただ直向きに生きる そんな人にだけ訪れる 幸せに抱かれて 愛の風に揺られ 重い身体を脱ぎ捨ててゆく ただ溢れゆくまま 拭えない涙は何故だろう 懐かしい温もりに 優しい通り雨に 嗚呼 似ている 夏が始まり じっと佇んでる 滴る汗を拭った 分厚い掌で まだ青い苗をただ必死に 守り続けてたんだ 我が子のように 何度倒れたとしても また立ち上がって 「まだまだ。」と笑っていた ただ直向きに生きる そんな人の隣にはいつも 幸せそうな顔が 愛すべき姿が 微笑んでるものなのだろう ただ言葉にもせず 抱きしめて離しはしないまま 抱えきれない日々も 伝えきれない言葉も 嗚呼 残して ただ直向きに生きる そんな人にだけ訪れる 幸せに抱かれて 愛の風に揺られ 重い身体を脱ぎ捨ててゆく ただ溢れゆくまま 拭えない涙よ何故だろう 懐かしい温もりに 優しいその笑顔に 嗚呼、逢いたい 田んぼに吹き抜ける 秋の風と 夕焼けに頬染めた 稲穂が笑う