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遠征録

Track byCIVILIAN

141
4
  • 2023.05.24
  • 5:37
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歌詞

底の底の底の底 マリアナ海溝の奥深くから 呼びかけている メーデー、メーデー、メーデー こちらは 第五万四千百七十八次遠征隊 どうやらエアタンクにも亀裂が 生じたようだ レギュレーターに送られる空気が 乱れ始めているのを感じる これ以上はもう水圧に耐えられず 浮上することさえままならなくなっ てしまった 我々は幾度となく失敗し それでも今日まで探求の灯を 絶やさず 果てに何が待っているのかも 分からず しかし我々には前進以外の選択肢は 無かった 後悔や罪悪感 悲しみや虚しさを重りとして 身体に巻き付け 人類最後にして最大の海 心の中心へと再び潜行を試みた 水深5M 身体が少しずつ海中に慣れていく 巻き付けた重りは今のところ上手く 機能していた 全てを焼く程の太陽光が海中に降り 注いでいる 水深20M 表層はとても煌びやかな世界だ わざとらしいほど極彩色の珊瑚礁が 並び いかにも楽しそうな様子で魚達が 群れを成していた 水深100M 太陽光が薄くなり 心は本来の様相を呈し始める 一頭のイルカが頭上から我々を 見ていた 「私は忠告したぞ」 と言っているように見えた 水深200M 有光層を過ぎ無光層に到達した 今にも飲み 込まれそうなほどの暗黒の中にいる ここが深海の始まり 心の中心はまだ遥か先だ 水深6000M 異形の深海生物に捕食されかける あれはきっとあの日の後悔と 罪悪の塊 深層は遂げられない思いの残骸で 溢れかえっている 忘れられない思い出 言えなかった言葉と言ってしまった 言葉 腐臭を放つ本音と欲望に耐圧 スーツが軋み始めていた 肺が悲鳴を上げている 口を開けた真っ黒い闇についに飲み 込まれる メーデー、メーデー、メーデー こちらは 第五万四千百七十八次遠征隊 我々はまた失敗するのだろうか 誰にも見つからないまま 拭い去れない感情に潰されて 死ぬのだろうか いつになれば我々は過去を 許せるのだろうか 過去を抱え続けることは 本当に無意味なのだろうか 二度とは来ない 通り過ぎた列車が来るのを 今もずっと待っているのに 水深10000M 心の底の底の底から呼びかけている ずっと ずっと

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