川沿いのベンチで 息をひそめてた 散り始めた花びら 肩にふわり落ちた 「来年も来ようね」と 笑った君の声 風にまぎれて ほどけてゆく 二人で見た 最後の桜 言えなかった言葉だけ 胸に積もる 触れかけた その手のぬくもり 今もまだ 消えないまま ここにいる 帰り道のコンビニ いらないお菓子選んで くだらないことでまた涙が出るほど 笑った あの日の写真だけが やけに眩しくて 画面の中で 君はずっと春のまま 二人で見た 最後の桜 さよならを包みこむ 薄紅の空 言えなかった「行かないで」が ひらひらと 花びらみたい 空へと 舞い上がる 同じ場所へ行けば 同じ匂いがする なのに隣には もう君はいない それでも毎年 春が来るたび あの約束を そっと撫でる 二人で見た 最後の桜 散りゆくほど 愛しいと知った季節 届かない 君への「またね」を 舞い上がる 花びらに 託してみる 心の中で 何度だって 会いに行く
