焼けるほど甘いもたつく毎日が きっと何度も掃いて捨てるほど 湧くと思っていた 洗い物かごからあふれていた ぎゅっと丸く放った洋服は 見ないふりをして 練りあげた期待 ひとさじ隠して そっと目配せ あなたの瞳に映っていた 火の消えた冷たいフライパン 三度瞬き その身が温まりますように それはよく混ざり合った 濁る山吹の海 元に戻らない 二度と離れない きっと治らない それでもあなたの手を取りたい 覚めない夢だけ見ていたい じっと耐えて産まれたたまごを 割りたい 65度で固めた心 ほぐす小匙の背なぞる 焼けるほど甘いもたつく毎日が きっと何度も掃いて捨てるほど 湧くと思っていた 甘い苦いを決める味蕾には いのちひとつ 紡がれた声を聞いた気がした あなたの温もりをなぞる またあなたの眼差しに溶ける