波打ち際 闇に浮かべた花束 蹲み込んで 裾を濡らす黒いワンピース 見果てぬ空の青さ恋しく あなたが唯一残した世界 逸れぬように握りしめても 解けた掌から溢れる砂粒 海のように眠り続けるのが あなたに許された祈りならば 青白い頬に月が流れ込んでも まだ夜は明けない 何から話そう あれからの物語を 生まれ変わるまでの夢路 新しい名前には慣れたかな 「可哀想に」 玩ぶ貝殻の海鳴り耳元で囁いた 燦々と祝福の鐘が鳴る その痛みに揺られながら 嗚呼 途切れることのない永久の瞬き ネメシスの眼差し 明日はもう来ないだろう 海のように眠り続けるのが あなたに許された祈りならば 青白い頬に月が ただ一人 晴れ渡る空の下 花弁掬い上げて笑う 寝息のように寄せては返す 海があなたならば 寂しくはない