傷つけても ゆるされます それくらい 残酷な夕べ 春には あるでしょう ほんとうに あるでしょう ひとたまりもない さみしさ 抵抗のすきさえ ないほどに 老いてく ぼくたちを うち負かす だれもが なにかを 失った 夕魔暮れ ひそかに すぎる季節が ゆずれない当然も 奪ってみせた こんなにけがれて ぼくら ふたりだけで もうどこへ行こうか うつてなく 敗色の風がふく 祈りの果てが ここなら ぼくらはけだかく おちて行こうか 光おとずれぬ 春の日 今 つかのまの 夢を見てた きみとの しあわせな夢だった ありえた あるべきな まっとうな ひとなみな あのよろこび あのかなしみ それすらも すべては夢でした まもなく 鐘がなる お別れの 敢えないけど 足りないけど 引けないけど ふがいないけど 短いけど かなしいけど もういいよ いいよ こんなにけがれて ぼくら ふたりだけで もうどこへ行こうか うつてなく 敗色の風がふく 祈りの果てが ここなら ぼくらはけだかく おちて行こうか 光おとずれぬ 春の日