誰もいない路地に靴の音 わざと少し響かせて歩く ここを越えないと辿り着けない 上り坂 息を切らす朝 お互いのポッケから転がる 言葉がひとつずつすれ違う ごめん、って言いかけた唇を 噛んでできた傷が痛い 何もかも分かり合うなんて 誰にもできやしないけど 悩みごと街を覗き込む 入道雲を見ただろうか 怪獣が出た!山を越えて 月曜の気怠さも蹴っ飛ばせ 言いたいことも山ほどある あの空に届いてしまうほど 怪獣が出た!炎は出ない でも勇気が欲しいんだちょっとだけ 見上げた空 目が合ったのは 気のせいじゃないことにしていよう かさぶたが出来るまで 誰も気に留めないようなこと ひとつずつ抱えながら歩く たまにまたポッケを抜け出して 誰かに見つかってしまうけど 喧嘩したあいつとすれ違う 帰り道 長い横断歩道 白い線を踏み外してみても 鮫なんて現れなかったな ただ分かり合いたくて それでも測り間違えてしまう 夕暮れが街を染めていく ほら今日も何も言えないまま 怪獣が出た!ビルを跨ぎ この街ごと全部食い尽くせ 言えないことを抱えていく 大人になるってちょっと辛いかも 怪獣が出た!炎は出ない 実のところ物理技も出ない 見上げた空 頬が濡れる 傘はどこに置いてきたっけ 怪獣が出た!きみの隣 弱虫の背中を蹴っ飛ばせ 言えないことは 言いたいことさ もうちょっとしたら分かるよ、 待ってて 怪獣が出た!頭の上 8時の眠たさも追い越して 見上げた空 目が合ったこと あいつなら笑ってくれるかな 言えないことも 聞きたいのさ あの石ころを連れて帰ろう かさぶたが治るまで