ぼくたちはきっと不完全で錆が出た 場所にはじめて 疵があるとわかるから間違いばかり 選んでしまう 言えなかったことや、 見えなかったものが 胸の中心まで根を張ってゆっくり 傷んでいく 未来は何千通りあった そうと知らずにまた摘んだ 折れた梢の向こう側で 芽吹かない春を悼む それは再現みたいに、 触れるたび気付く痛みの根 終わったことがずっと 続くようなまぼろし たとえば煮えきらずにいたことや やりきれずにいたことが積み 上がって 生活に影を落としている 季節の足跡だったり、 会話の切れ端だったり 誰かを祝うとき 不自然に溢れてしまうものだったり わかりきっていたことだって 虹の脚のなかでは見えないものだね それは稲妻のように、 瞬間に交差する光になって また何度も焼き付いて離れない 痛い それは再現みたいに触れるたび 気付く痛みの根 終わったことが続くような 幻枝痛だけが残っているよ 行先さえも曖昧な毎日で、 陽光の差す瞬間を待っている 終わらせ方を選べるなら、 今度こそもっとうまくやれるよ それは再現みたいに 近頃、 ぼくは少しましになった気がする
